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ヤエヤマクビナガハンミョウ

八重山首長斑猫

Neocollyris (Isocollyris) loochooensis KANO 1929

概要

熱帯を中心に分布するクビナガハンミョウ亜科の一種で,南琉球にのみ分布し,照葉樹林内の林内や林縁に生息する.本種は成虫が地表ではなくクワズイモなどの葉上を徘徊するという特異的な生態をもち,幼虫は地中ではなく草本の茎や若木の枝の中で育つ可能性が高い.

分類・形態

​・体長:10-13mm

国内に分布する唯一のクビナガハンミョウ亜科であるため,細身の体形などから他の日本産ハンミョウ類と容易に区別できる.

分布

国内:石垣島・西表島・与那国島(日本固有種)

​​※クビナガハンミョウ属Neocollyrisのなかで最北・最東の分布.

​レッドリスト等

​・環境省:準絶滅危惧NT→ランク外

生態

成虫はクワズイモなどの大きな葉の上を徘徊し,などを捕らえて食べる.交尾行動も葉上で確認されるが,マウント姿勢は他の日本産ハンミョウ亜科と少し異なり,オスがメスの胸部側板を大顎で挟むことはしない(榎戸,2018).産卵は野外ではタブノキとアカメガシワの生木に対して,室内実験ではアカギの生木に対して行われた事例が報告されている(鈴木,2012;榎戸,2016).海外の同属のクビナガハンミョウでは,幼虫や蛹がコーヒーの若木やヨシ内から発見されている(Leewen, 1910; Toki et al., 2017).そのため本種の幼虫も同様に生木や草本の茎に巣孔をつくる可能性が高いが,その報告例は未だない.

引用文献

榎戸良裕(2016)ヤエヤマクビナガハンミョウの産卵に関する新知見.月刊むし(539): 50-54.

榎戸良裕(2018)ヤエヤマクビナガハンミョウの配偶行動~マウントと交尾,配偶者防御の有無~.月刊むし(569): 14-18.

Leewen W (1910) Über die Lebensweise und die Entwicklung einiger holzbohrenden Cicindeliden-Laven. Tijdschrift voor Entomologie 53: 18–40, pls. II–III.

佐藤正孝(1985)ハンミョウ科.原色日本甲虫図鑑(II)(上野俊一・黒沢良彦・佐藤正孝編著): 5–14,保育社,大阪.

鈴木知之(2012)虫の卵ハンドブック.文一総合出版.

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